長い間更新も滞っておりましたが、新パソコンもセットアップ完了しました。
今日は「メカゴジラの逆襲版ゴジラ」のテストショットのご紹介です。
このゴジラも食玩サイズでの商品化は初だと思います。
このゴジラはメガロ版ゴジラと対して変わらない印象を持っている方が多いかもしれません。
私も自分が作り始めるまでは、このゴジラのイメージがいまいちつかめませんでした。
でもそれは雑誌などに使われている写真が、撮影会で撮影されたものだからであって、
その後、顔などに大幅な改造が加えられ、劇中では前作までの正義感溢れる顔から一転して、かなり厳つい顔してますよね。
ですから怪獣の絵本などをよく読まれていた方には、劇中の厳つい顔の着ぐるみを再現したこの造型はちょっと違和感があるかもしれませんね。
写真はレジン抜きしただけのものなので、真っ白ですがモールドは原型に忠実に再現されました。
レジンは硬化するときに縮小にムラがあるのですが、パーツの合いも良好です。
今回のゴジラを含めてコンプリートシリーズは、原型~生産~塗装~最後の梱包まで
国内でのイワクラ原型師による完全な手作業で材質も国産レジン100%を使用しております。
レジンでできたものは、ポリストーン(※1)に比べて材質にある程度の粘りがあるので、多少の事では割れません。
よってテストショットも安心して触っています。
ではここでポリストーンについての話題を少々…
私は中国に行くまで、なぜ中国の製品は脆いポリストーンをやめてレジンを使わないのだろう?と思っていました。
でも実際、中国の工場でポリは破損が多いのでレジンを使ってくれないか?と依頼すると、
どこの工場の技術者も「いまなんとおっしゃいました?そんなのありえないです」みたいな反応をされます。
もちろん彼らは悪気があって言っているわけでもないですし、めんどくさがっているわけでもありません。
混じりっけの無いレジン100%を使うというシステムそのものが無いのです。
塗装などでかなり無茶を言っても答えてくれる工場でも、この無茶だけはなかなか聞いてもらえません。
ガレキ黎明期の大阪で、海洋堂やイノウエアーツ(内田模型)、ゼネプロなんかを自転車で走り回って少年期を過ごした私には
怪獣キット=レジンなんですが、中国でレジンを使うという事は、
ちょうど「カルピスを薄めずに原液で飲む!!」というくらいありえない事みたいです(^^;)
人件費だけでなく石油価格の高騰により、レジンの価格も値上がりしてるので、
現実的に採算があわないのかもしれませんね。
またプライマーの類が普及していないのか中国の塗料はレジンへの定着が悪いみたいです。
大人の趣味として脆く壊れやすいポリストーン製のスタチューなどが広く受け入れられている西洋諸国と違い、
地震列島なのに住宅事情の関係で、机の上やテレビの上にフィギュアを置く習慣があり、
なおかつフィギュアを投資対象とし、開封せずに保存、転売する事が頻繁に行われている日本では、
壊れやすいポリストーンは万人向けとは言えませんが、
イワクラの商品は折れやすい部分に弾力のあるピューター(※2)を使うなどして工夫をしてきました。
でも、まだまだよい良い商品作りのためにも、もっと生産工場と時間をかけて新素材、新技法を開発してゆく必要がありそうですね。
TM&(C)1975 TOHO CO.,LTD.
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※1 高分子素材(ポリ)と石粉(ストーン)を混ぜ合わせて作られており、 プラスチックに近い精度と石に近い重さを持つ素材。
※2 スズを主体とする合金の物質名。もしくはその合金によって作られた製品。