まだ粘土にさよならしませんから…(^^;)
最近、「粘土よ…さようなら」という日記を書いたうえに、
ZBrushをはじめとしたデジタルな内容ばかりUPしているので、
知人の方から「もう井野さんは粘土をやめて、そっちの世界の人になってしまったのですか?」
というご心配(?)を頂いたのですが、ご安心下さい。
将来的にはフィギュア業界のデジタル化の流れは止められないと思いますが、
現時点では将来への備えとしてデジタルスキルの習得に励んでいるだけで、
すぐに粘土を捨てたりはしません…というかできません(苦笑)
なぜなら3Dプリンタによる出力には高額なコストが掛かるからです。
メーカーの原型師だった頃は、そんな事気にする必要はありませんでしたが、
今のように個人であくまでイベント中心で当日版権のフィギュア販売をする場合、
自分が1日で販売するのはせいぜい50個くらいです。
人気の美少女フィギュアとかならこの5倍はいくかもしれませんが、
怪獣フィギュアなんて当日限定販売ではせいぜい売れてもこれくらいです。
1個1万円前後で販売すると50万円ですが、
そこには当然、材料費や量産に必要な機材などのコストは含まれておらず、
粗利はせいぜい25万円くらいです。
ところがですよ!!
3Dプリンタの出力は簡単な形状でも10万円くらい簡単に吹っ飛びます。
まして自分の作っている尻尾だの背鰭だの羽根だの付いてる怪獣なんかはパーツ数も増えるので、
その倍の20万円はかかります。
この前作った「キンゴジ北方軍事基地を襲う!!」くらいの豪華ベースなんてつけようものなら…もう…想像するのも恐ろしい。
当然、量産品1体にそれだけお金掛けるわけにはいきませんので、
結局は今まで通り、3Dプリンタから出力された原型をシリコンで型取りしてレジンで量産することになります。
おわかりですね…
利益ゼロっていうか大赤字です。
今までは
原型制作→シリコンで型取り→複製
だったのが、
原型データ制作→出力サービスで出力→シリコンで型取り→複製
になってしまうのです。
アマチュアだった頃は、修行だと思ってこういうのでもオーケーですが、
いちおう元プロ原型師で妻子も養い家のローンもたっぷり残ってる現状では、
たとえ趣味でも利益を生み出さねばなりません。
妻がZBrushを使うための高額な環境だの書籍だの、
フィギュアを量産する真空脱泡器だのにお金をじゃぶじゃぶ使っても許してくれるのは、
その投資が家計を助けると信じてくれているからです(苦笑)
でもかつてPCのメモリが1メガ1万円だったのが、
いまは1万円あれば8ギガ(8000メガ)は買えますよね。
3Dプリンタの出力コストはそれほど値下りする事にはならないと思いますが、
それでも技術の進歩で、そう遠く無い未来に1/3くらいにはなると思います。
それくらい敷居が下がってこそはじめて趣味レベルや個人レベルで利用出来るようになるでしょう。
自分は仕事をしながら、あれやこれやと趣味を掛け持ちするのは苦手なので、
いまは3DCGの分野に集中しているだけです。
またしばらくしたら粘土もこねると思いますよ。
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