幻の原型
一般にメーカーからのフィギュア原型製作の依頼というのは、発売が確定していない状態で来ることも多いです。原型は完成したが諸所の事情で、お蔵入りになったという経験は、現在プロで原型師をされているほとんどの人が経験されている事でしょう。
そんな日の目を見なかった気の毒な原型たちの画像がに光を当ててやるのが、このコーナー(^^;)
まずは初代アンギラスです。私がイワクラに入社する前、5年くらい前かな?にユージン様の依頼で作ったものです。
スケールは1/350。材料はいつもどおりスカルピー、背中のトゲのみ折れやすいので、焼くと弾力性のあるゴム状になるラバースカルピーを使用。
一番苦労したのは背中と言いたいところですが、実は体表のウロコ。初代アンギラスのウロコ表現は今までにも沢山の原型師さんが苦労されたと思いますが、初代アンギラスのウロコって凹型なんですよ。
真ん中が凹んでフチが盛り上がった皿状のものがいっぱいくっついているんです。
だから単純にモーターツールで凹みを彫るだけでもいけないし、ウロコを貼り付けるだけでもいけないんです。
結局、鼻クソ状(お食事中の方ごめんなさい)に丸めた粘土を貼り付けて中央部をヘラで凹ませて行くという地道な作業でした。
いづれイワクラでも初代アンギは避けて通れないキャラでしょうけど、あの食玩サイズでは、この表現技法は使えないし…さてどうしたものか(^^;)
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