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カテゴリー「ZBrush」の8件の記事

2014年4月15日 (火)

デジハリ「デジタル原型師」育成オンライン講座 レビュー(3)

Tutanramen

二つ目の課題の「ツタンラーメン」です。

解説もとても分かり易くゆったり進むので、特に理解しづらい部分は無かったです。
やはり原型製作に特化したカリキュラムなので、情報のてんこ盛りになるという事はないので、
初心者にはこれはメリットですね。

ただし、ひとつだけ注意点があります。
これからこの講座を受講される方は是非気をつけて欲しいのですが、

・作ったモノがたとえ作例と似ていなくても、とりあえず次のレッスンを観てみる事です。

わかりやすく例え話で申し上げますと、
たとえば料理番組などで、オーブンに入れる前の料理と、オーブンから出て来た料理がまるで別物(笑)とか、
CM前の作りかけの料理と、CM後の試食タイムの出来上がった料理がまるで別物(笑)という場面がよくありますよね。

まさにそれです。
なので、前のレッスンで作例と寸分違わぬモノをスカルプトしても、
次のレッスンがはじまると前回作例からかなりブラッシュアップされて
カタチが変わってしまったモノが登場したりします。

そしてそのブラッシュアップされたモノを使って、その後のレッスンは進んで行きます。
これはこの講座のすべての課題作品に共通して言える事なので、
はやる気持ちを押さえて、とりあえず一つ先のレッスンを観てから、
一つ先のレッスンに登場しているモノをゴール地点だと思って作業していけば、
スムーズにレッスンを進めていけると思います。

もっとも、あくまで課題は課題なので、そこまで作例に似せる必要があるのか?という考え方もあるかもしれませんが、
いついかなる時でもクライアントを意識して、作例や資料を尊重するというプロ意識は持ちたいものです。
原型で飯喰うようになると、自分の作りたいように作れる仕事なんて90%ありません!!←元プロ原型師の私が言います!間違い無いです!

という事で「ツタンラーメン」ですが、
このキャラクターは幾何学的な要素が多く「ぴーちゃん」に比べたら、タブレット操作にかなり精度を要求されます。

自分は仕事でアドビのIllustratorを使っており、たった1mmのズレが始末書モノという生活を送っておりますので、
幾何学的な要素を含んだ作業はキッチリと作らないと落ち着かないのですが、
頭にかぶっている冠は、真っすぐな線をフリーハンドで引いてマスクで塗りつぶしていくという場面がでてきます。

線を引く時にブレをある程度補正するLazyMouse(レイジーマウス)という機能はありますが、
それでもタブレットに慣れてないとプルプルしちゃいます。

こんな凄いソフトなのに、Illustratorのように簡単にポイントを打って多角形を作ったり、
ベジェ曲線のように描いた後アンカーポイントを使って調整したりできんの?
なんでこんなに一発勝負のソフトなの!!
線を引いてる最中にクシャミしたらアウトじゃん!!と頭の中で混乱しつつ、
まあこれはZBrushであってIllustratorでは無いのだからと自分をなだめ作業してました(苦笑)

そして、この課題の後半は、ブーリアン機能を使った楽しい楽しい分割作業です。
これはアナログ原型師だった自分にとっては驚きでした。
パーツの分割やダボの作成って、アナログ原型では結構難しく、
かつ破損などのリスクも高いのですけど、
こんなに自由自在に分割出来るもんなんですね。

ZBrushをはじめて触った時に自動的にシンメトリーで造型してくれる機能にデジタル造型のメリットを感じましたが、
アナログ造型では地味だけど非常に重要で大変な分割作業が
容易にできるのは、それと同じくらい大きなメリットですね。

Tutanramen2

デジハリ「デジタル原型師」育成オンライン講座 レビュー(2)

Hiyoko_4

まず講座全体の構成ですが、全3ヶ月です。
最初は基本操作を学ぶための「基本編」のレッスンしか観られず、
2ヶ月目から「応用編」となる美少女フィギュア製作のレッスンが観られるようになり、
受講をはじめて2ヶ月半くらい経ったあたりで、
3Dプリンターでの出力を学ぶ「出力編」が観られるようになりました。

※ただ、全体の進行状況を観て調整しているのか、単に出力編の動画が公開されたのが受講期間終了直前だったせいなのか、実際には受講期間が1ヶ月延長されました。

講師は(株)グリフォンエンタープライズの福田博行さんです。
グリフォンといえば自分にとっては美少女ではなく、非常に出来の良い恐竜フィギュアを思い浮かべますし、
講師の福田さんも個人的に古生物のデジタル復元をされているらしいので、
どちらかといえば自分はそっちのレッスンを受けたいところですが、
やはりフィギュア業界の7割を占める美少女フィギュア製作の講座になってしまうのは致し方ないですね(^^;)

実際に受講をはじめてみての感想ですが、
ま〜ったりしてます。

いや悪い意味ではなく自分にはちょうど心地よい速度です。
前述のZBrushベーシックの和田さんのラジオDJ並みのマシンガントークは、非常に聞き取り易く無駄が無いのですが、
あまりにも速すぎて、一時停止ボタンや巻き戻しボタンの上に指を置いて30秒ごとに押さないと
デジタル初心者の自分では理解がついていかず、置いてけぼりを喰らってしまう状態でしたので、
自分で作業をしながら聴くにはちょうどいい速度です。

収録スタジオがよほど寒かったのか鼻をすすったり、手を擦り合せる音までそのまま収録されており、
福田さんのやわらかい語り口調もあって、生身の人間に教えてもらってる感満載です。
ZBrushのメニューやブラシには舌を噛みそうな複雑な名前のものが多いですが、
毎回同じところで噛んだり、名前を言い間違ったり、他にもスカルプト中の美少女フィギュアの顔が突然無くなっていたり(笑)といったハプニングなども、いろいろ収録されていて肩の力を抜いて和みながら受講できます。

現在も2期生を募集している講座なので、受講内容はあまり詳しく書いてしまうと問題があるので書きませんが、
基本操作の解説は必要最小限度で割とあっさりした感じです。
当然2.5Dエディットモードとか、ポリペイントとか、ましてUVマッピングなんて応用編でも擦りもしません。
あくまでデジタル原型に特化した講座なので、将来CG屋やゲーム屋になる予定が無く、
ZBrushをフィギュアの原型製作にしか使う予定の無い自分にとっては、まさに願ったり叶ったりの内容です。

でっ…最初の課題である「万年ひよこのぴーちゃん」完成しました。
レッスン内容自体は、あらかじめZBrushベーシックなどで基本操作を予習していた事もあり、
特にわからない所もなく、スムーズに理解できました。
ですが手作業で粘土つかえば10分で出来そうなこのキャラでも、
当時、ZBrushとタブレットの操作に慣れていなかった自分にとっては、
トサカが斜めに生えちゃったり、二本生えちゃったり、「ここでつまづくか?」という予想外なところで地味に苦労しました。

Hiyoko2

2014年4月14日 (月)

デジハリ「デジタル原型師」育成オンライン講座 レビュー(1)

Photo

学校に通う時間の無い自分のような会社員でも、お家に居ながらにしてオンラインでZBrushの技術が学べるという、
デジハリことデジタルハリウッドの「デジタル原型師」育成オンライン講座〜美少女フィギュア編〜やってみました。

なんとこの講座の存在に気付いたのは締め切りの一週間前!!
しかも先着100名様限定で割引価格で受講できるらしい…

※ちなみに自分が申し込んだのは1期生ですが、なぜか現在募集中の2期生でも割引価格である事には、あえて突っ込まないようにしましょう(笑)
一期生は100名集まらなかったのでしょう…たぶん(汗))

しかし正直迷いました。
約10万円という学費もさる事ながら、自分はアナログ原型の技術は、ほぼ独学ですので、
正直、専門学校とかでわざわざお金を払ってフィギュアの作り方を学ぶ人を、
そんなの金持ちの道楽だ!!と、ちょっと軽蔑しておりました。
きっと現役でバリバリZBrushを使っている人からすれば、
「そんなの自分で手動かして、本読んでネット観てればなんとかなるっしょ!!」と言うはず。
自分がアナログ原型作ろうとしてる人に相談されたら、きっと同じ事言いますもん(苦笑)

でも、思い返せば自分がイワクラで後輩原型師の育成をしていた頃、
ろくに粘土も触った事が無い新人たちをプロレベルにするのに、
3ヶ月しかかかりませんでした。
自分が100通りの方法を試して5年かかって習得したアナログ原型製作の技術を、たった3ヶ月です!!

もちろん自分は1の答えを見つけるために99の失敗を経験してるわけですから、
サクッと近道しか教えていない教え子に負ける気はしませんが、
ですが先人に近道を教えて貰うという事は、膨大な時間と労力を節約できるというのを実感しました。

ましてフルタイム残業ありの本職を持ちながら、家で子育てをしていては
99通りの失敗などしている暇はございませんので…と自分で自分を説得して…(笑)
今回は素直に人に学ぶ(時間をお金で買う)事にしました。

妻が前々から希望していた子供部屋のリフォームにお金を出すのと引きかえに、
自己啓発のために10万円使う事を、なんとか許諾して貰いました。
ほんと理解のある妻に感謝です!!

では次回から実際に講座を受講した感想など書いていこうと思います。

2014年4月 7日 (月)

まだ粘土にさよならしませんから…(^^;)

最近、「粘土よ…さようなら」という日記を書いたうえに、
ZBrushをはじめとしたデジタルな内容ばかりUPしているので、
知人の方から「もう井野さんは粘土をやめて、そっちの世界の人になってしまったのですか?」
というご心配(?)を頂いたのですが、ご安心下さい。
将来的にはフィギュア業界のデジタル化の流れは止められないと思いますが、
現時点では将来への備えとしてデジタルスキルの習得に励んでいるだけで、
すぐに粘土を捨てたりはしません…というかできません(苦笑)

なぜなら3Dプリンタによる出力には高額なコストが掛かるからです。
メーカーの原型師だった頃は、そんな事気にする必要はありませんでしたが、
今のように個人であくまでイベント中心で当日版権のフィギュア販売をする場合、
自分が1日で販売するのはせいぜい50個くらいです。
人気の美少女フィギュアとかならこの5倍はいくかもしれませんが、
怪獣フィギュアなんて当日限定販売ではせいぜい売れてもこれくらいです。
1個1万円前後で販売すると50万円ですが、
そこには当然、材料費や量産に必要な機材などのコストは含まれておらず、
粗利はせいぜい25万円くらいです。

ところがですよ!!
3Dプリンタの出力は簡単な形状でも10万円くらい簡単に吹っ飛びます。
まして自分の作っている尻尾だの背鰭だの羽根だの付いてる怪獣なんかはパーツ数も増えるので、
その倍の20万円はかかります。
この前作った「キンゴジ北方軍事基地を襲う!!」くらいの豪華ベースなんてつけようものなら…もう…想像するのも恐ろしい。
当然、量産品1体にそれだけお金掛けるわけにはいきませんので、
結局は今まで通り、3Dプリンタから出力された原型をシリコンで型取りしてレジンで量産することになります。

おわかりですね…

利益ゼロっていうか大赤字です。

今までは
原型制作→シリコンで型取り→複製
だったのが、
原型データ制作→出力サービスで出力→シリコンで型取り→複製
になってしまうのです。

アマチュアだった頃は、修行だと思ってこういうのでもオーケーですが、
いちおう元プロ原型師で妻子も養い家のローンもたっぷり残ってる現状では、
たとえ趣味でも利益を生み出さねばなりません。
妻がZBrushを使うための高額な環境だの書籍だの、
フィギュアを量産する真空脱泡器だのにお金をじゃぶじゃぶ使っても許してくれるのは、
その投資が家計を助けると信じてくれているからです(苦笑)

でもかつてPCのメモリが1メガ1万円だったのが、
いまは1万円あれば8ギガ(8000メガ)は買えますよね。
3Dプリンタの出力コストはそれほど値下りする事にはならないと思いますが、
それでも技術の進歩で、そう遠く無い未来に1/3くらいにはなると思います。
それくらい敷居が下がってこそはじめて趣味レベルや個人レベルで利用出来るようになるでしょう。

自分は仕事をしながら、あれやこれやと趣味を掛け持ちするのは苦手なので、
いまは3DCGの分野に集中しているだけです。
またしばらくしたら粘土もこねると思いますよ。

2014年2月21日 (金)

学習用DVD BLESTAR ZBrush ベーシック レビュー

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こちらは日本で唯一Pixologic公認のZBrushインストラクターの方が作られたDVDなので当たり前なのですが、まともな日本語で非常に分かり易いです。
またインストラクターの声がクリスペプラーですか?と思う程のイケメンボイスで非常に聞き取り易いです。

ただしベーシックと謳ってはいるものの、やはり3DCGの基礎が何もない人間には理解が難しい部分もありますし、
この機能は自分は使う事があるのだろうか?…というような機能まできっちり解説してくれているので、
チャプター1から真面目に理解しながら観ていこうとすると、いっぱいいっぱいになっちゃいます。

聞き流すだけの英会話教材スピ◯ドラー◯ングのごとく、
たとえ今の時点では分からなくても、サラッと流していく勇気が必要かもしれません。

最初は画面と同じ事を自分のPC上でマネしながら学習してましたが、
途中から、「今の自分ではマネするのは無理!!」…という次元になってしまうので、
インプット&アウトプットの学習法を、開き直ってインプットのみに替えました。

しかしこのインストラクターの方は凄いですね。
自分も元プロ原型師なので、CGであれ造型している人の能力は多少わかりますが、
この人は作例をスカルプトしていく過程で、まるでゴール地点が明確に見えているように無駄も迷いも無い…
物凄くデッサン力のある人か、毎日コレばっかり作ってる人か(冗談です)どっちかですね。
自分なんかいつも粘土を盛っては削りの繰り返しで迷いまくりながらゴールに到着する人間なので、とても感心しました。

ちなみにこんなお手頃価格でボリュームもたっぷり18時間あります。
しかも解説中もセリフを一切噛みませんし、無駄な沈黙や迷いもないので、
その辺の専門学校で50時間くらいの授業を受けたのと同等の密度はある気がします。

こちらから質問出来ないというデメリットにさえ目を瞑れば、
学校にくらべ大変コストパフォーマンスは高いと思います。

このDVDの序盤~中盤だけでも基本操作はかなり習得できました。
日本語でZBrushを学ぶ上で、まずは外せない一本ですね。



2014年2月20日 (木)

粘土よ…さようなら(3)ZBrushはじめました

という事で自分も3DCGの勉強をはじめました。
ここでどのソフトを選ぶのか?という非常に大きな問題があります。
先日、SHINZEN造型研究所の竹内くんと話した時、彼も同じ心配してたので面白かったのですが、
自分たちアナログ原型師が身につけた、手作業による造型技術は、将来まったくの無駄になる事はありませんが、
デジタルの世界では、せっかく大金と時間をつぎ込んでソフトの使い方を覚えても、
10年後にそのソフト自体が無くなっていた!!という事はよくある事なので、
そんな最悪な事態だけは避けたいものです。

で…結果いろいろリサーチしてZBrushに決めました。
無論、もっとメジャーな3DCGソフトはありますが、
自分が作るのは、幾何学的なメカではなく、生物的な曲線を持った怪獣やクリーチャーなどがメインなので、
現在、生物的な3DCGを作られている方々を見ると、圧倒的にZBrushを使ってる人が多いという事と、
実際少し使ってみればわかりますが、数値入力ではなく粘土を盛ったり削ったりする感覚が、
アナログ造型に近いのが決め手でした。
自分は仕事で毎日IllustratorとPhotoshopを使っていますが、
どちらかといえばPhotoshopなどのペイント系ソフトに近い感覚ですね。
逆に、図面があって精度が要求されるようなメカなどはちょっとやりづらそうです。
(もちろんこれでガチガチのメカを作ってしまう強者もいらっしゃいますが…)

まずはネット上の口コミで評判の良い学習用DVDとDVD付き書籍を購入しました。

最初に届いたのはDVD付き書籍「ZBrushマスター」、
自分はフィギュア業界以上に長い期間をデザインの畑で過ごした人間なので、
全く関係のない業界の方が一から勉強するのに比べれば、
多少はラクかな…という甘い考えは吹き飛びました。

洋書の翻訳ですが、翻訳というか単に英単語をカタカナにしただけじゃないの?っていうくらい横文字が多く
日本語なんですが日本語とは思えません(笑)
わからない部分はもちろんの事、わかっている部分も英語直訳すぎて、
かなりイマジネーションを働かせなければわかりません。

これで分かり易いとか言っておられる方は、
きっと3DCGに対して相当高いスキルを持っていらっしゃるか、
分かったフリをしているエエ格好しいか←これは言い過ぎですね(笑)
たぶん自分のデジタルスキルが低いせいです(^-^;

なんとか作例のドラゴンらしき頭部をひねり出すあたりまでは出来たのですが、
1/4ほど読み進めたところで、同時期に注文していた学習用DVD
ZBrushベーシック」が届いたので気分転換も兼ねて、観てみる事にしました。

20143.31 追記

この本を買ってから数ヶ月…他の様々な書籍やネット上の情報などで、
自分のZBrushスキルが上がったせいでしょうか?
久しぶりに読み返してみると、やはり英語直訳の回りくどい表現は気になりますが、
書いてある内容は以前と違いスルスルと頭に入ってきます。
もしかしてこの本を最初ではなく、別の書籍やDVDで学習した後に読んでいたら、
印象はかなり変わったかもしれません。
という事で以前酷い事を書きましたが、若干のZBrushスキルがあれば、とても参考になる本だと思います。
ただ、この本を買う人はおそらく初心者でしょうから、そこが難しいところですね。

2014年2月 3日 (月)

粘土よ…さようなら(2)フィギュア界のデジタル化

前回の日記で驚かせたかもしれませんが、
粘土を捨てる気は(ここしばらくは)全然ありませんよ。
自分は原型製作は今は本職ではありませんから何とかなります。
自分のように趣味や、WFなどのイベントオンリーの原型師さんは、
アナログ造型でも、しばらくは大丈夫だと思います。

ですが職業としてやっておられる方たちや、原型を発注する側であるメーカーさんの知人によると、
それはもう凄いスピードで原型製作の現場はデジタル化が進んでいます。
かつて自分が働いていたプラモデルメーカーの知人によると、
メカなどは、ほぼ100%デジタル原型になり、
かつて日本のプラモデル製作を支えた昔ながらの木型職人さんなどはことごとく廃業してしまったそうです。

それを聞いてふと思い出したのが自分が経験した1990年代の印刷業界のデジタル化の波でした。

自分は今はMacを使った印刷物などのデザイン部署で働いておりますが、
実は大学を出てから5年ほど某企業でMacデザイナーをやっておりました。
ちょうどデザインや版下作成が手作業からMacを使ったデジタルの作業に置き換わる過渡期だったため、
Macとプリンタがある横で、紙焼き機(トレスコープ)と暗室があるという不思議な空間で仕事をしていました。
ところが皆が想像していたその数倍のスピードで、デジタル化の波は押し寄せ、
紙焼き機と共に、知人の写植オペレーターや製版業者といった方々はことごとく仕事を無くしていったものです。

上手にデジタルに乗り換える事ができた業者さんは生き残りましたが、
デジタルに乗り換える事を躊躇した業者さんたちはことごとく廃業してしまいました。

仕事のシステムが変わり、いままで職人でしか出来なかった事が、
PCの中で安く速く凄い精度でできてしまうので、職人さんたちであっても太刀打ちできません。

音楽の世界でもそうです。
まったく楽器を演奏する腕が無い人でもPCを使って「打ち込み」で、
作曲や演奏が容易くできてしまう時代になってしまいました。
「打ち込み」だけの人は少ないでしょうが、「打ち込み」を全くやっていないミュージシャンも少ないと思います。

でもピラミッドの頂点におられる「巨匠」とか「大御所」とか言われる人たちは、
いくらDTPが進化しても、「筆と墨」、「絵の具と色鉛筆」で生きていけますし、
いくらDTMが進化しても「ピアノ」や「アコギ」で生きている人もいます。

その少ない確率に賭けてみるというのもアリかもしれませんが、
リスクヘッジとして新しい技術を今から少しずつでも取り入れておくのは大事な事だと思います。

前述のように、氷河期になってから羽毛を生やそうとしても手遅れになる事を
かつて印刷業界で見てきましたから…。

2014年1月24日 (金)

粘土よ…さようなら(1)原型師って実は…

さて皆さん、原型師というとどういう人を想像しますか?
昔からの技法を大切にし、融通がきかず、頑固な職人気質…
といった人物像を想像される方も多いかと思いますが、
実はその真逆である場合がほとんどなんです。

というのは数百年の歴史を持つ伝統工芸とは違い、
フィギュア原型師の歴史なんてたかが数十年です。
ですから、いまプロとしてやっておられる方は、
独学か、独学でプロになった師匠から教わった第二世代という事になります。

つまり原型師の使っている道具や材料、技法は、
代々師匠から受け継がれたような伝統工芸と違い、
自らが試行錯誤を経て発見した歴史の浅いものがほとんどなのです。

ちなみに自分がフィギュア造型においてメインに使っている樹脂粘土のスカルピーですら、
日本に輸入されてから20年くらいしか経っていません。

原型師は、既存の道具や材料を使いながらも、
「もっといい道具(材料)は無いか?」と、常にアンテナを張り巡らしています。
それらは造型用品という狭い範囲ではなく、調理器具や、食料品、インテリア用品など、
全然違う分野から発見される事もあります。

この回りくどい前置きで何が言いたいのかと申しますと…

より優れた作品を作る為なら、原型師は既存の技法や道具や材料を捨てる事に未練は無いのです。
それが粘土であっても…。

たとえば自分は石粉粘土「ファンド」に出会った時は感激しましたが、
さらに細かいモールドが再現できる樹脂粘土「スカルピー」が登場した瞬間、
なんの躊躇もなくスカルピーに乗り換えました。

もちろん、作るモノのサイズや条件が合えば、適材適所で独特の風合いのある石粉粘土を使う事もありますが、
食玩サイズの超細密な造型物を作る場合は、
石粉粘土では役不足でスカルピーという選択肢しかなかったからです。

そして今、石粉粘土か樹脂粘土かという問題では無く、
粘土そのものを使う事が最善ではない時代が近づいてきています。

それは3DCGです。

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